とある官女の日記 ~九月九日、重陽の節句の頃に~
京の都はまだ暑い日が続きます。
本日、九月九日は重陽の節句でございます。
不老長寿の象徴の菊を使い、
殿方は菊を浮かべた御酒を嗜み
姫君たちは菊の朝露で不老のまじないを致します。
枕草子にも
九月九日の宮中の様子が記されており、
その日は夜明け前から少し雨が降っていて
菊の露もたくさんだったそう
写し香がとても引き立ち、
雨音が遠ざかっていく様子は
さぞ、「おかし」
趣あるひと時だったことでしょう。
私共も菊の朝露で姫様の
不老をお祈りすべく、準備いたしまして
秋の訪れを感じていただけたようでございました。
令和五年 菊の頃