とある官女の日記 弥生の桜の時期
春の訪れ
京の都では美しい桜が咲き始めております。
いつも雅ゆきの御屋敷へ
遊びにいらっしゃる姫様が
此度は姫様の蒐集品を
披露してくださいました。
姫様が蒐集されているのは
将棋の駒でございます。
こちらは姫様が一つ一つ
お作りになられた品。
栗皮色のような、黒柿色のような
こちらは遙か遠くの異国、
南蛮の「ちょこれーと」という
菓子の色を模したそう。
春らしい紅色の駒もあり、
まるで装束の重ね色目を見ているかのよう。
お召物のお色味とも合っていて
とても可憐でございました。
大変、楽しい日和となりました。
姫様もご自慢の蒐集品を
披露できて
ご満悦のご様子にございました。
令和五年 弥生某日