とある官女の日記 水無月の姫様
御屋敷の紫陽花が
可愛らしく咲き始めました。
此度の姫様は以前、お越しになられてから
二年といふ歳月が経ち・・・
こうしてまた京の都へとお越しになられました

久方ぶりの十二単のお召物は
その色彩の鮮やかさ、衣の重厚さに
懐かしさが込み上げてこられたご様子で
艶やかな黒髪が十二単にとても良く映えていて
大変、お美しいお姿にございました。

楽し気に物語を書き連ねたり
文を御読みになられたり
昼つ方には、
紫色の清楚なお出かけ着にお召し替えされ
官女とともに外出されました。
うららかな京の庭園を楽しまれ
姫様の心に残る京の都の旅路となりました。

令和四年 水無月